2023年5月16日2023年5月28日 再始動にあたって 今日の都内は最高で30℃にまで外気温が上昇する見込みだというが、夏へと向かうこの時期に敢えて冬場の話をしたい。 私の生まれ故郷である山形県酒田市の日本海岸方面には甘ったるい匂いを漂わせる花王石鹸の工場があって、その界隈には中学・高校時代に短距離・跳躍選手として息を切らし汗を流した光が丘陸上競技場や立派に育った松の防砂林が風景を形作っている。 10~11月頃、この辺りを自転車で通ると、東北地方出身者ならなんとなく理解してくれる感覚だと思うが、間もなくやって来る厳しい冬の気配を強く感じて急に悲しく切ない気持ちになる。 相手が動物でも人でも自然界の果樹草木でも、あらゆるものを散り散りに吹き飛ばしたり萎縮させたり家屋に押し込めてしまって次の季節が来るまでは外界との関係性を断絶させ孤立させてしまうかのような恐ろしい音を立てる寒風に身を晒して、おそらく年内は最後になるだろう海の波しぶきを見るために遮蔽物の少ない産業道路を立ち漕ぎで進む。 市内のそれよりは表面が少しゴツゴツした道路は港の方へと真っ直ぐに延びていて、ある地点まで来ると、ねずみ色をした空と道路が溶けあいそこに吸い込まれていくような不思議な感覚に襲われる。 明かりも少ない海沿いに独りで居ると、中学・高校また大学生当時は自分が欲しているのはまさにこの“孤独さ”なのだと粋がってみせたりもしたが、社会人になって波頭に立つと、時折煩わしいと思うことはあってもやっぱり自分は人との関わりの中で生きていたいのだなと思うに至ったことに改めて気付かされる。 まあまあ苦労して心身をすり減らして来て、もしかすると誰かにつらく接したこともあったかもしれないが、それでも自分の近いところには沢山の話し相手が居る有難さ。 世の中的にいうところの”無職”になったいま、冬の酒田港で昔しみじみ感じたのと同じことを思っている。なるべく早いうちに、楽太郎としての今後の活動について、皆さんに具体的に示したい。 関連 DIARY