賑やかな夜に

つい先日、運用するのに難儀したがそれでも向き合い、長期間にわたり頑張ってくれた台を抱きしめるように撤去した。

こういう感覚はホール職域の諸氏なら理解してくれるだろうと思うが、島から取り外し、床に置き、搬出のため店外に停めてある販社さんのハイエースに積み込むその一連の作業過程において幾分の傷も付けないように細心の注意を払ったのは私なりの彼（男性だと思って接していた）に対する礼儀としてであり、もう二度と会うことはないし中古機市場に流通すれば保管・運搬・設置の過程において傷などいくらでも付くのだから無駄なことだとはわかった上で、それでも、そうしないわけにはいかなかった。

仲間内で楽しく飲み食いしてきたのだろう沢山の人たちでごった返すゴールデンウィーク真っ只中の繁華街の路地を申し訳なさそうに抜けて進んでいく車を見送り彼との別れを済ませた私は、品名からだけでは実際に出てくる料理がどのようなものかなかなかイメージしにくい中華系飲食店で鶏雑炊のようなものを食べてから家路についた。

途中のコンビニで買った缶ビールを手に、閉店まで残り1時間を切ったあたりの遊技客もまばらなホールの様子を見遣りながらTUCショップの前まで歩いてくると、各々張り切ってイベント営業に臨んだらしい若者４～５名が意見交換していて、「今日は強かった」「ホール側は頑張って入れたんじゃないか」「第一チョイスを完全にミスった」などという会話が漏れ聞こえてきた。

こういう熱気を喚起したり、日常の中で感情をアップダウンさせ、右へ左へときにはナナメへ或いは前へ後ろへと思考を巡らせるような役割を担えている内は、パチンコスロットはまだまだどうにかなると本気でそう思っている。